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平成18(2006)年11月のコラム一覧へ戻る

冬の札幌地方裁判所

執筆 : 代表弁護士 大塚嘉一

1.札幌地方裁判所を訪れました。北海道では、数年前に室蘭の裁判所に行ったことがありましたが、札幌の裁判所は初めてです。時間に余裕があったので、札幌駅から徒歩で向いました。途中、時計台を写真に撮る観光客を見て、初めてそれと気がつきました。11月8日の札幌は、冬支度を始めたばかりで、どこまでもまっすぐに伸びる道路のほかは、格別他の地方都市と変わらない様子です。

2.今回の事件の依頼者は、埼玉県内の会社(メーカー)です。訴訟が始まったのが、平成17年8月。それ以来10回の期日がありました。これまで手続は電話会議で進行しました。当方は、事務所で待機し、札幌の裁判所から電話がかかるのを待ち、裁判所にいる相手代理人弁護士も交えて、各種の打合せをするのです。したがって、これまでこちらが、札幌に出向く必要はありませんでした。文書は、予め、ファクシミリで送っておきます。

電話会議や、ファクシミリで文書を送信しあうようになったのが平成10年ころです。

裁判所に提出する文書にしても、かつてはB4袋綴じ縦書きというやっかいなものでした。たぶん和本の綴じ方に由来するものでしょう。今では、A4横書き左綴じというビジネスシーンの標準に合わされています。

保守的と思われがちな裁判所ですが、結構、時代や世論を気にして改革を進めています。判決内容についても同様のことが言えそうだとの観測がありますが、それはまた別の機会に。

3.札幌地裁は、高等裁判所と併置された立派な裁判所でした。当日は、事務所から飯島弁護士と私、会社から証人を予定されている担当者2名が参加し、現地で落ち合いました。相手も、代理人弁護士のほか証人を予定されている者を含む担当者が2名参加しました。11回目のこの日の用件は、進行協議期日といい、これまでの双方の主張を整理し、来るべき証人調べの準備をすることでした。裁判官の指揮よろしきを得て、実のある期日となりました。

やはり、会って、見て、初めて分かるということはあるものです。「人は見た目が9割」という本(竹内一郎・新潮新書・2005年)が売れているようです。帯の「理屈はルックスに勝てない。」との文句は誤解を与えます。確かに著者は、非言語の情報の重要性を強調しますが、それ以上のことを言ってはいません。大人なら誰でも、気がついていたことです。この本は、劇作家の目からまとめた点が新鮮です。

4.間もなく、証人調べのため、再び札幌を訪れることになるでしょう。そのとき、雪化粧をした時計台が我々を迎えてくれるはずです。素の姿と違っているのでしょうか。違っているとしたら何がどれほど違っているでしょうか。楽しみです。

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