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平成25(2013)年12月のコラム一覧へ戻る

中澤佑一著「インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル」

執筆 : 代表弁護士 大塚嘉一

1.ネットの発達に伴い、匿名で誹謗中傷され、損害を被る、名誉を棄損される、という事例が増えています。

中澤佑一著「インターネットにおける誹謗中傷法的対策マニュアル」(中央経済社2013)は、そのような場合に、どのような法的対応ができるかを教えてくれます。

ほぼ網羅的に記載され、よく検討されており、現場の方々のみならず、弁護士にとっても、とても有用な本と言えそうです。

2.実は、著者の中澤弁護士は、修習生のとき、私が、指導担当をしました。現在、ネット対策の本を出すだけではなく、実際に業務として取り入れ、大活躍なさっています。

ご縁があった者として、とてもうれしい。

哲学好きが共通点で、ファイヤーベントについて議論したことなど、懐かしく思い起こします。

3.平成11年(1999年)の司法制度改革審議会の設置にはじまる司法改革による法曹資格者の増員の是非については、当時、私も賛成派の一人でした。しかし、日弁連は、増加した有資格者の受け入れや活用について、裁判所、検察庁をはじめ、財界、行政などなどと秘密裏に交渉をしているに違いないと信じていました。

しかし、現状は、増加した法曹資格者の大部分が、弁護士を希望し、法律事務所に就職できない弁護士の増加、あるいはそもそも弁護士を断念する者の増加という現象を惹起しています。これまで、弁護士は、徒弟制度のようにして育てられてきました。いくら頭が良くても、いくら知識があっても、経験でしか学べないものが、確かに弁護士にはあります。法廷における尋問技術などはその最たるものです。

4.中澤先生は、その知識、才能を用いて新しい業務を開拓し、積極的に新しい弁護士像を築いています。私も、このようなことが弁護士の仕事になるとは思ってもいませんでした。司法改革の見事な成果と言っても過言ではないと思います。

様々なバックグラウンド、多様な才能を持った弁護士が、各界で活躍する、というのが、司法改革の理想でした。弁護士は、国民の権利を守り社会正義を実現するという弁護士の使命を、弁護士の職能団体としての一体感を維持しながら、ますます発展させる必要があります。

個々の弁護士の意識改革だけでは、不十分です。日弁連、全国の各単位弁護士会の責任は、とてつもなく重い。

日弁連は、弁護士業務の拡大のため、と称して、テレビコマーシャルを流していますが、それが日弁連に求められる、日弁連にしかできないこと、とは到底思えません。

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