2016.07.06

大塚 嘉一

井沢元彦「逆説の日本史」シリーズを読む

1.ベストセラーかつロングセラー。絶対的平和主義者の心理を、言霊思想や、穢れから説明します。目から鱗とは、このこと。作家井沢元彦から日本人への素敵なプレゼントです。しかし、このままだと、「お話」、で終わってしまうので、同書からインスピレーションを得た人は、その専門分野に応じて、心理学なり、歴史学なり、社会学なり、法哲学なり、数学なり、文化人類学なりで、日本人だけにあてはまるのではなく、全人類なり全世界に適用可能なように「理論化」する必要があります。できた人は発表してね。それができたら、本書は、日本の、いや世界の「財産」となります。

2.日本史選択の大学受験生は、山川の教科書を暗記するまで読み込んでいるものと思います。そのうえで、このシリーズ本を、夏休みでも利用して、一読してみてください。歴史上の人物が、アニメのように、生き生きと動き出しますよ。

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と続き、戦国時代は終焉を迎えますが、そして、それを機械的に覚えて、日本史の勉強、イッチョ上がりとなりがちなのですが、とりわけ秀吉が、日本統一のために、どれほどの努力をしたのか、工夫をしたのか、そしてそれを獲得したのか、リアルに感じられます。そして、歴史の必然と、ワイルドカードとしての個人の活躍との関係を考えさせられます。歴史を勉強した甲斐があったというものではないですか。