2019.02.10

大塚 嘉一

牛島信「少数株主」を読む

1.牛島信「少数株主」(2017年)を読みました。

著者の牛島先生は、検事を経て弁護士となった企業法務の大御所。数々の著名事件を手掛けています。小説の形で、同族会社における少数株主の問題点を、具体的に事例形式で、一般の方にも分かりやすく描いています。これを読んで、背筋を寒くした少数株主の方も、大勢いそうです。

各所に、古今東西にわたる薀蓄がちりばめられています。後半では、男女の機微に触れる場面もでてきて、小説としての出来もなかなかのもの。

2.気になった点を一つだけ。

税金のことです。株式の譲渡に対する課税ですが、同書では分離課税20パーセントとなっています(単行本124頁)。このケースでは、譲受人が、発行会社以外の第三者と言う設定になっているので、基本的には、これでよろしいのですが、仮に、発行会社に買い取ってもらう場合には、みなし配当課税となり、税額が増額となる可能性があります(例外あり)。

株式買取請求をする方は、税金についても、十分ご注意ください。